田んぼのある千葉の匝瑳にいると、
とにかく空が広い。
田んぼは山に囲まれていると言っても、
せいぜい30mくらいの丘が森になっている感じだ。
そうした里山風景も、
八日市場駅までの2~3キロだけで、
駅を超えて6キロくらい先の海まで、
山は全くない。
広大な田んぼの隙間に小さな集落や家々があるだけで、
ビルもない。
だから空が広いんだ。
ゆえに自ずと空に目がゆく。
農作業から帰宅する道すがら、
夕陽や雲に見とれ、ハッとする。
風を感じ、心が開放されてゆく。
生きているって素晴らしいな~、と!
物心ついてから会社員時代まで、
心荒むと相模湾の海に行った。
逗子葉山、三浦三戸浜、鎌倉材木座、
海で心癒した。
何を悩んでいたのだろうか・・・・。
海を見に行っていただけではないことに気づいた。
水平線と接する空や、
晴れた日には遠くにに見える富士にも癒された。
横浜の海も好きだった。
立ち入り禁止の埠頭の先まで行って海を何時間も眺めた。
あのころ、
青春時代の歳にしては ませた音楽を聴いていた。
柳ジョージ。
ハマ出身のブルースミュージシャン。
『 YOKOHAMA Area 2 』 という大好きなアルバムに
「夢の彼方」という曲がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
港を見下ろして 夢の跡を辿れば
淀んだ潮風が 想いだけを吹き寄せて行く
この街だけが グラスの中に解け残る
飲み干したのか 今は誰も答えない
Stay, I love You 耳元で あいつがまた囁く
愛したあの瞳 今は誰を見つめてるのか
この街にまだ もたれるように生きてる
答えも告げず 消えた日々にバラード
いつの日か 最後の船が出る
あの頃の輝きと憧れを 甲板に乗せて
There is going home from the bay
水平線のない海
離れられずに 今も 俺は ここにいる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
“水平線のない海” ・・・まさにハマの海だ。
こんな風に生きて、死んで行くのだろうと思っていた。
でも幸いにして Blues を生きずに、
今、とっても楽しく幸せだ。
だが、今もって Blues を生きている人たちに、
あのころの自分の悩み苦しみを重ねあわせ、
向き合うことが大好きだ。
心の闇たる Blues を卒業してほしいから。
大好きだった柳ジョージは数年前に亡くなった。
God of Blues といえば、B.B.King。
最近亡くなった。
89歳までステージでギターを弾き、唄い続けた。
ここ一週間、B.B.の音源をずっと聴いていた。
十数年前にライブにも行った。
あの大きい体を揺らせて、
ステージ前方にいた車椅子のファンの前まで来て、
ギターを弾いてみせた。
目頭が熱くなったことを覚えている。
同じ89歳で亡くなったもう一人の偉大な存在がある。
偉大といっても単なる近所の小さな焼きトン屋のオヤジだ。
当店から歩いて5分くらいにある、
10~15人も入ればいっぱいの焼きトン屋だった。
89歳まで焼き続け、糠床を守り続けていた。
89歳の死の数ヶ月前まで現場にいたところが、
B.B.King と同じだ。
死ぬ寸前まで現役でいる。
俺がサラリーマンを辞めた大きな理由のひとつだ!
土曜日から月曜日まで匝瑳の田んぼにいた。
これしたい、あれしたい、と思っていた作業を全部できた。
自分の田の補植、マイ田んぼの人たちのコモンズ田んぼの補植、
朽ち果てていた東屋の解体と4つのベンチ作り、
今年から始めた田んぼへの階段(いびつな出来だが・・・・)、
田んぼ継続している人たちの畔穴修復や、水溜めの指導。
我が田の畔に植えた大豆も芽を出した。
昨日夕方、都心に帰って来て、床屋に行った。
時間が余ったので、
本屋とレコード屋に行こうと思った。
しかし目的のレコード屋はなくなっていた。
小一時間ほど、
東武、ルミネ、マルイ・・・久しぶりに目的もなく徘徊した。
たまには衝動で買い物も悪くない・・・・と思って歩いていた。
しかし、何一つ欲しいものはなかった。
消費者からすでに卒業したんだ~と再確認できたと同時に、
かつての虚しさが込み上げて来た。
悩んでいた30歳まで、
よくこうして街を徘徊して、
買い物して、
誰か呑む友を探して、
これでいいんだ、って自分を誤摩化していた時代。
虚しかった日々が蘇った。
まさに Blues だった!
そういえば、ここ数日、
かつて当店に毎日のように来てくれていたTさんと
ショートメッセージのやりとりをした。
超一流会社で
どの支社に赴いてもトップセールスの方だった。
今は転勤して関西にいる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
疲れたので田舎に引っ込もうか?と!
仕事というか会社にほとほと疲れたし、
愛想が尽きた。
結局、25年間売り買いを繰り返しただけやったような気がするのと、
当社の平均余命が67歳を考えたら定年まで働いて、
どーするぅ?って感じ!
家賃の安い田舎に行けば、あくせくしなくてもいいかな~と、、、!
大量消費しながら自分の命を消費してたら世話ないよな、、、
都会に住むってアホみたいやな!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
買うものもなく帰宅に向かう中、
夕陽が奇麗だった。
その夕陽は、
あの重苦しかった時代に見た夕陽と同じで、
なんだか切なく儚い。
「人」の「夢」と書いて 「 儚い (はかない) 」。
都市文明とは儚いものだと思った。
今は、360度 球体に開けた空のほうが遥かに好きだ。
先日の坂爪圭吾さんとの対談の感想を、
田んぼに参加してくれている(株)リヴァの森田さんが記してくれた。
http://re-life.tokyo/media/post-68/
彼らのブログタイトルは 「 リライフ通信 」。
脱サラから十数年を経たが、
俺もいつの間にやら リライフ できていたのかな、と しみじみ思う。
リライフ ・・・・ もう一つのいのち、もう一つの人生へ、生き直せ。
上を目指せど光が見えないトンネルから抜けて、
大地へ、水辺へ、田んぼへ、降りようぜ!
脱 Blues な人生へ。
卒 Blues な人生へ。
——【 髙坂 勝 の トーク 出演情報 】———
■ 6/14(日) 18:00~ 下屁降朗/コール佐藤/本橋平祐 トークライブ at たまつき
■ 6/20(土) 13:30~ 労音お茶の水 でのイベントに出演
■ 7/5(日) ネクスト200年創造学科
by 地球のしごと大學
■ 7/13(月) 大東文化大学で講義
■ 7/18(土) 午後 志木にてトーク 主宰 トランクイル
田中康彦さん
「自分が変わらなければ、世界は変わらない(仮)」
会場:さいたま・志木市(志木ふれあいプラザ・多目的ホール)
■ 8/8(土) 午後8時 「8の会」 でプレゼン
■ 11/29(日) 楽読の代表・平井ななえさんとトーク
■ 1/11(祝/月) たまつき発・寺田本家酒蔵ツアー2016
(当店にご来店経験あり、且つ、このツアー未経験者のみ)
http://kokucheese.com/event/index/253086/
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
拙書
【減速して自由に生きる ダウンシフターズ】
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
—–